会山行紀行文
No−064
グレード:B
2016年
6月25日(土)〜26日(日)  天候は下記記載   
(いいづなやま)(たかづまやま)
飯縄山・高妻山

1917m  2353m
参加者 (紀行文) 2216 S/K 
16名
(男性12名・女性4名) (写真) 2216 S/K
≪コースタイム≫
≪6月25日(飯縄山)曇り≫
  新潟駅(6:00)=(北陸・上信越道)=信濃町IC=一の鳥居登山口(9:00−9:15) …(南登山道) …登山道合流点(11:15)
  …飯縄山山頂(11:40−12:20)…登山道合流点(12:50) …(西登山道) …登山口(車道合流点)(14:35−14:45)=妙高高原きたむら山荘(15:50)

≪6月26日(高妻山)曇り時々晴れ≫ 
  妙高高原きたむら山荘(6:05)=戸隠牧場駐車場(6:50−7:00) …一不動登山口(戸隠牧場内)(7:25) …一不動避難小屋(9:05−9:15)
  …五地蔵山(10:15−10:15) …六弥勒(10:30) …高妻山山頂(12:30−13:15) …六弥勒(15:05) …弥勒新道登山口(戸隠牧場)(17:05)
  …戸隠牧場駐車場(17:25−17:45) =信濃町IC=(北陸・上信越道)=新潟駅(20:20)
≪紀行文≫
〜〜〜手強い高妻山をたっぷり楽しみ、充実感に満たされた〜〜〜

 梅雨の最中ながら、山行日が近づくと天気予報は好転し、25日曇り、26日晴れ。どうか雨が降らないようにとバスに乗り込む。

◆飯縄山 
 リーダーから「今日は明日の高妻山の足慣らし」と言われるが、初めて登る山はやはり緊張を伴う。
 時折ガスが樹々を覆う一の鳥居登山口に到着。ここから南登山道を歩いて山頂へ、下山は西登山道を辿る。
 石造りの飯縄大明神の鳥居を潜って登山がスタート、直ぐに大きな奥宮一の鳥居を通過。
 万緑の中を気持ち良く進む、自然の中に分け入って行く感覚は、いつも新鮮な喜びがある。
 登山道脇に祀られている仏様の石像が、飯縄山が山岳信仰の霊山であることを教えてくれる。
樹々の後方にガスが漂う一の鳥居登山口で身支度 飯縄大明神の鳥居前でリーダーからルート説明
大きな木製の奥宮一の鳥居を潜る 万緑の樹々の中を進む レンゲツツジが彩りを添える

 長い歳月登山者を見守り続けてきた石仏は、どれも徳のある表情に思える。
 閉口したのは立ち止まると集まってくる吸血ブヨ、各自蚊取り線香や防虫ネットで自己防衛。
最初の石仏は不動明王 文殊菩薩に見守られながら進む
薬師如来に手を合わせる 咲き始めたテガタチドリ 濃い緑に包まれながら立ち休憩
可憐な花ハクサンフウロ 地蔵菩薩に合掌 阿弥陀如来に合掌

 高度を上げ西登山道との合流点を過ぎると笹と草地の登山道に変わり、間もなく1917mの飯縄山の山頂に到着。
 晴れていれば展望がきくというが、残念ながら今日はガスで白一色。
 昼ご飯を食べ、冷たい風で体を冷やさないよう直ぐに下山する。
笹が覆う登山道を登るが、山頂方面はガス 山頂で記念撮影(標高はヒクイナ1917m)
石を椅子代わりにして昼食をいただく  ガスが晴れそうもなく長居は無用と下山

 滑りやすい登山道に注意しながら高度を下げ、カラマツ・白樺・ブナの樹々を観ながらバスの待つ登山道入口へ。
 雨にあたらなかったことに感謝しながら、今宵の宿妙高高原の「きたむら山荘」に移動。
 源泉かけ流しのお風呂で汗を流し、たくさんのごちそうが並んだ食堂に集合。
 さあ、足慣らしは終わった、明日の高妻山に期待を込めて「乾杯!」
石に泥がつきスリップ注意報発令 登山口で待っていたバスで宿へ 明日の登頂を祈って乾杯!


◆高妻山
 YK誌で高妻山は「日本100名山の中で二度と登りたくないベスト3に入る」と読んだことがある。
 アプローチが長く、山頂まで何度もアップダウンを繰り返し、最後の強烈な急登で嫌気がさすという。
 リーダーから「荷物はなるべく軽く」と指示が出る。
 コンビニで昼食を調達した後、戸隠高原キャンプ場へ移動。
 上部を雲に覆われた戸隠山を前方に見ながら、戸隠牧場を歩いて一不動登山口へ。
宿の後方に妙高山、天候回復の予感 戸隠牧場の駐車場で身支度 リーダーから注意点が伝えられる
上部を雲に覆われた戸隠山を観ながら歩き出す 牛が放牧された、戸隠牧場の真ん中を進む

 最初は大洞沢に沿って歩く、昨夜の降雨で多くなった水が「ゴー、ゴー」と音を立てる。
 10数回渡渉を繰り返しながら高度を上げると、スリル満点の鎖場が立て続けに2つ現れる。
大洞沢の水の流れに清涼感をもらいながら歩く 10数回渡渉を繰り返す、転んだらと・し・ょ・う

 最初の鎖場は「滑滝」、岩肌を流れ落ちる滝の横を約15m、チェーンで姿勢を確保しながら登る。
 2つ目の鎖場は「帯岩」、切れ落ちた一枚岩の上部を約50m、片手にチェーンを持ちながらトラバースする。
滑滝をなめたら先に行けんぜよ!「おい、押すなよ」 上から見るとこんな感じ。「押すなってば、危ないだろ!」
切れ落ちた一枚岩の帯岩をトラバースするメンバー、その先には不動滝

 一不動の避難小屋で一息入れる、ここから先所々で樹々の間から高妻山を見ることができる。
 ようやく拝むことができた高妻山、その姿に胸が躍る。
 最後の登りまで幾つも上り下りを繰り返すが、登山道を彩る沢山の花々が疲れを忘れさせてくれる。
沢を登りきって、一不動で休憩 高妻山は尖がっている 登り下りで疲れが貯まる、たまりません
シロバナタカネグンナイフウロ カラマツソウ ツマトリソウ
ニッコウキスゲ ハクサンシャクナゲ マイズルソウとイワカガミ(赤)
なんだこりゃ、虫? 食つくぞ! 食つきません、キバナアツモリソウ アカモネ
サラサドウダン ヨツバシオガマ
マイヅルソウ(小)とゴゼンタチバナ 足下にひっそりとカラマツソウ

 2053mの「九勢至(きゅせいし)」で森林限界を超え、高妻山が全容を現す。その堂々とした山容に圧倒される。
 ここから300mの登りが正念場、戸隠連山や雲の合間から姿を見せる妙高山と火打山に励まされながら、傾斜が増していく坂に挑む。
戸隠富士と呼ばれる戸隠連峰最高峰の高妻山がそびえ立つ
手前の戸隠山から右へ本院岳、西岳と連なる 右奥に妙高山、左奥に火打山を望む 

 山頂から下って来る登山者と道を譲りあいながら高度を上げるが、山頂直下の急斜面でメンバーの一人が疲労で大きくペースダウン。
 ラストリーダーが状況を確認し、その人のザックを背負い、他のメンバーがストックを持って支援体制をとる。
 「歩幅は短く、手を使ってシッカリ登りましょう。ゆっくりで良いから、前の人について行きましょう」
 ラストリーダーの的確な指示と励ましで急斜面を登り切る。
高妻山の斜面に取りつく楽山会のメンバー
坂の傾斜が次第にきつくなる 山頂直下は岩の急登が続く 岩場の先にようやく頂上発見

 そして、全員が2353mの高妻山の山頂に到着、きつい坂を登り終えみんなの顔が輝いている。
 山頂での昼ご飯は、メンバーの笑顔と楽しい会話で美味しさが倍増。
 雲で北アルプスは望めないものの、眼下に広がる戸隠連山の美しい眺望を楽しむ。
美味しく、楽しく、昼飯をいただく
山頂で記念撮影、みなさんいい顔をしています 山頂から乙妻山を望む
山頂からの戸隠連山の眺望、中央が本院岳と西岳、残念ながら北アルプスは雲の中 

 下山でさらに傾斜が増して見える急坂を、両手両足を使いながら降る。
 「六弥勒(ろくみろく)」で下山ルートを弥勒尾根新道にとる。
 このルートは鎖場などの危険個所が少なく、刈払いした滑りやすい笹の急坂を過ぎると、後半は変化が少ない樹林帯を歩く。
 長々と続く樹林帯の歩きに飽き飽きした頃、登山口のある戸隠牧場に到着。
正面に黒姫山を望む 弥勒尾根から昨日登った飯縄山を望む
ただいま滑落警報発令中 樹林帯の中を長々と歩く ブナの巨木が目を引く

 牧場の草原とゆったりとした飯縄山の山並みが気持ちを開放してくれる。
 沢歩き、渡渉、スリルある鎖場、美しい花々、急登の登り下り、眼下に広がる眺望、万緑のブナ林、牧場の草原・・・
 手強い高妻山をたっぷり楽しんだ充実感に満たされながら牧草地を歩く。  
牧場の先には穏やかな飯縄山の連なり バスが待つ駐車場まで草原をゆっくり歩く

 思い出に残る山行をプレゼントしてくれたリーダーに感謝しつつ、「紅葉の時期にまた登りたい」という思いを強くしながら帰路についた。