会山行紀行文 2015年
 7.09(木)〜12(日)
天候は下記記載
 甲斐駒ヶ岳  2967m
 仙丈ヶ岳   3033m
 木曽駒ヶ岳  2956m
参加者 (紀行文) 2216 S/K
2名
(男性2名) (写真) 2216 S/K
≪コースタイム≫
 ◆7月9日 移動
  新潟市(6:00)=仙流荘(12:10−12:30)=こもれび山荘(13:20)
 ◆7月10日 甲斐駒ケ岳(小雨後晴れ) 
  こもれび山荘(5:30) …仙水峠(6:50)…駒津峰(8:30−9:00)…甲斐駒ヶ岳(10:30−12:00) …駒津峰(13:10−13:30)
  …双子山(14:10−14:20)…こもれび山荘(15:40)
 ◆7月11日 仙丈ヶ岳(快晴)
  こもれび山荘(5:00) …五合目大滝の頭(6:30)…小仙丈ヶ岳(7:40−8:00)…仙丈ヶ岳(8:50−10:00)…小仙丈ヶ岳(11:10−11:40)
  …五合目(12:30)…こもれび山荘(13:40−14:10)=仙流荘(15:00)=伊那市(16:10)
 ◆7月12日 木曽駒ヶ岳&移動(快晴)
  伊那市(5:00) =菅の台バスセンター(5:15−6:15)=しらび平(6:50−7:00)≒千畳敷カール(7:10−7:20)…乗越浄土(7:50−8:00)
  …中岳(8:15)…木曽駒ヶ岳(8:40−9:00)…乗越浄土(9:30) …宝剣岳(9:45−9:50)…乗越浄土(10:00)…千畳敷カール(10:30−11:30)
  ≒しらび平(11:40-12:00) =菅の台バスセンター(12:45)=新潟市(17:00
≪紀行文≫
〜〜〜天気良し、宿良し、山良し、友良し〜〜〜
 友人が混雑を回避して登山日を梅雨明け前に設定してくれたが、台風が同時に3つも発生し中止も覚悟。
 しかし、天気予報が次第に好転、「天は我に味方した」と友人と2人車で新潟を出発。
 車を仙水荘に置いて南アルプス林道バスで北沢峠へ、高度を上げるにつれてバスは雲の中へ。
 小雨で出迎えてくれた「こもれび山荘」の宿泊者は5人、のんびりくつろぎ、明日の晴れを願って眠りに着く。
◆甲斐駒ヶ岳:2967m 
 夜中に一度強い雨音で目を覚ます、カーテンを開けると外は霧雨。
 暖かい味噌汁で朝食弁当を食べ、5時30分甲斐駒ヶ岳に向けて出発。
 双子山と栗沢山の谷沿いの登山道を辿り、仙水小屋と仙水峠を経由して、駒津峰から頂上を目指す。
 仙水荘に着く頃に雨は上がるが、山は雲に隠れ姿を見せてくれない。
 深い静かさを感じながら苔に覆われた緑の樹林帯を歩く、幻想的で奥の方からもののけ姫でも出てきそう雰囲気が漂う。
 岩が斜面に積み重なったゴ―ロの縁を進んで仙水峠へ、ガイドブックにはここから駒津峰までは「480mの高度差に汗を絞り取られる」とあるが、その表現に偽りのない急登が続く。
 時折雲の切れ間から姿を見せる仙丈ヶ岳や栗沢山に励まされながら足を前に運ぶ。
 標高を上げると右側に甲斐駒ヶ岳が姿を現す、これが有効な「ファイト!一発!」効果となる。
緑色に包まれた登山道を歩く 苔に覆われ幻想的な樹林帯
仙水峠に到着 駒津峰の急登に汗を絞られる 徐々に雲が取れ始める

 駒津峰から見上げる甲斐駒ヶ岳は、岩の鎧を纏い荒々しく実にワイルドである。
 一度岩場を下り、鞍部から南側の斜面を周り込む巻道コースを進む。
 グリーンロープと岩の上に打ち込まれた赤い目印板に導かれながら、風化した花崗岩と白砂の中を登る。
 黒戸尾根からの登山道と合流し、ひと登りして2967mの甲斐駒ケ岳山頂へ。
鞍部から岩の山頂を見上げる
甲斐駒ヶ岳が姿を現す 花崗岩と白砂の登山道を登る
石造りの神社にワラジが 山頂に咲くミヤマキンバイ

 頂上は広い、大きな花崗岩がゴロゴロし、石造りの駒ヶ岳神社にワラジが手向けられている。
 空は青いが北岳や鳳凰三山は雲の中、仙丈ヶ岳は雲が消えかかると新しい雲が湧き上がり中々姿を現さない。
 そんな景色を眺めながら山荘の弁当をいただく、結局1時間30分も頂上でのんびりし下山。
 山頂からの展望、雲よ消えてくれー

 駒津峰まで戻り甲斐駒ヶ岳をもう一度じっくりと眺める。あの頂きに立ったと思うと感慨深い。
 振り返ると男性的な甲斐駒ケ岳と対照的な南アルプスの女王仙丈ヶ岳が穏やかな山容を見せている。
 明日はあの山を登る・・・明日こそ頂上で大パノラマが見たい。
 下山は双児山を経由し尾根ルートで樹林帯を下る。
 右側に甲斐駒ヶ岳の尾根とつながる日本200名山の鋸岳(2685m)が円錐形の姿を見せる。
滑る白砂に注意しながら下山
200名山の鋸岳 駒津峰から甲斐駒ヶ岳を望む

 思いの外長い下りを、登山道脇の苔や草木の写真を撮りながらゆっくり山荘へ。
山荘へ樹林帯を下る 登山道わきの苔にフォーカス   連泊したこもれび山荘 
 
 山荘は昨日より賑わいがある、宿泊人数が昨日の7倍の35人。
 明日の土曜日は120人でソールドアウトとのこと、混雑ぶりが想像でき平日登山のありがたさを実感する。
 こもれび山荘は清潔で過ごしやすい。水は豊富、トイレは水洗、睡眠スペースが一人一人カーテンで区切ることができ、ストーブで夜も暖かい、食事は手がかけられていて美味しい(初日チキンソテー、2日目コロッケ)、朝食は前夜配布のお弁当だが出発時間の30分前に味噌汁を出してくれる(4時出発の人にも対応していた) 
 
◆仙丈ヶ岳:3033m
 5時に山荘を出発、今日はバスで仙流荘に戻るため、最終便の16時までに戻らなければならない。
 やぶ沢ルートはスノーブリッヂ崩落の恐れがあって通行禁止のため、小仙丈ヶ岳を経由するルートで山頂を目指す。
 シラビソの木々の中、整備された登山道を登る。背後から朝日が差し込む、空に雲は無い、快晴の予感に足取りは軽い。
照明が点く早朝の山荘 仙丈ヶ岳に向けて登り始める  シラビソの樹林帯を行く 

 昨日拝むことができなかった鳳凰三山のオペリスクや北岳が木々の間から見えテンションが上がる。
 6合目を過ぎると樹林帯を抜けて展望が開ける、その展望は2864mの小仙丈ヶ岳で絶景へとグレードアップする。 
 日本で一番高い山、富士山,2番目の北岳,3番目の間ノ岳が横一線に並ぶ、なんとも贅沢な絶景である。
 「富士山はやっぱり違う、美しい上に品格がある」友人の言葉に頷く。
 仙丈ヶ岳の穏やかな姿が美しい、振り返ると昨日登った甲斐駒ヶ岳が鋸岳を従えてこちらを見ている。
 「ここでの存在感ランキングはNo1が富士山、No2甲斐駒ヶ岳、No3仙丈ヶ岳だ」の声が聞こえる。
遠くに鳳凰三山のオペリスク 
 可憐な花が癒しをくれる 日本一の富士山,二番の北岳,三番の間ノ岳、なんとも贅沢な眺め 
仙丈ヶ岳の頂上は目の前 
さすが女王、仙丈ヶ岳には穏やかな美しさがある   山頂で友人と記念撮影 

 高度を上げる毎に、絶景の凄い度記録を更新して、3033mの仙丈ヶ岳の頂きへ。
 歩いて来た登山道の後ろに鋸岳から甲斐駒ケ岳の連なり、そして、早川尾根から鳳凰三山へ繋がる長い縦走路、その後方には八ヶ岳。
 目線を右に移せば北岳、間ノ岳、塩見岳、荒川岳、赤石岳・・・南アルプス3000m級の主峰が居並ぶ、
 全てが未踏の峰峯、「いつか必ず登る」の思いが湧き上がる。
 北に目を向ければ雪を頂く日本アルプスの峰峯。待ち望んでいた視界360度の大パノラマに興奮せずにはいられない。
 
 左後方に鋸岳と甲斐駒ヶ岳、右に早川尾根と鳳凰三山、最後方は八ヶ岳
 
右の登山道は両俣小屋へ、左は小仙丈ヶ岳へ、北岳と間ノ岳の後方に富士山

 「とんがったのが槍ヶ岳だから、あれが北アルプス、その隣はなんだろう?」思わず声が出る。「左から中央アルプス、乗鞍、北アルプス、立山・剱、後立山連峰、その隣が新潟の火打・妙高ですよ」近くにいた方(*)が親切に教えてくれる。「後立山連峰の順番は?」遠慮なく更問いすると「左から爺ヶ岳、鹿島槍、五竜、白馬・・・」登ったことがある山の名が出てくると感激が大きくなる。山の名を復唱している自分が笑顔になっている。
 (*教えて下さったのは北アルプスで長く過ごされ、今は入笠山で山小屋のオーナーをされている方でした)
手前に塩見岳、後方に荒川三山、赤石岳、聖岳 遠くに北アルプス、後立山連峰  

 山頂で垂れ幕を広げているグループを発見「JAPAN21SUMMIT」と名付け、日本の3,000m以上の主峰踏破を目指す兵庫県から来た職場のグループとのこと、関西系の乗りでワイワイと楽しげである。
 (数えてみると私の踏破数は8峰/21峰だった)

 下山は絶景をもっと楽しみたいと同じルートを戻る、下から続々と登山者が登って来る、聞けば今日だけで500人がバスで北沢峠に入ったという。甲斐駒ヶ岳と半分に分けても250人が登っていることになる。

 小仙丈ヶ岳で背中が曲がった超高齢と思しきご婦人を発見、よくここまで登ってこられたと驚くと共に三浦雄一郎の「やる気があれば夢がかなう」のリアル実践者との出会いに感動する。
昨日歩いたルートを一望
  
21峰の垂れ幕を掲げる関西のグループ  甲斐駒ヶ岳とミヤマキンバイ 
 イワカガミに一息つく シラビソ林の登山道を下る  

 早々山荘に戻ると人数が揃えば臨時バスが出るという。缶ビールとコーラで乾杯し山荘にデポした荷物を持って列に並ぶ。
 間もなく発車したバスは景色の良い所で止まり、運転手がDJ運転手のように説明をしてくれる。
 車窓から見上げる甲斐駒ヶ岳と鋸岳は覆いかぶさるよう迫る。
 バスの運転手が「鋸岳は200名山、田中陽希が一筆書きで登りますが大変ですよ」どんな放送になるのか楽しみが一つ増える。
 この日は伊那市に宿泊し、明日は木曽駒ヶ岳だ。
 
◆木曽駒ヶ岳:2956m
 当初最終日は千畳敷カールを散策する予定だったが、好天が期待されるため木曽駒ヶ岳まで足を延ばすことに。

 バス停へ始発の1時間前に到着するが、すでに乗車券売り場に100人以上が並んでいる。
 定刻前に発車したバスでしらび平へ、そこからロープウェイが標高2612mの千畳敷カールまで8分で運んでくれる。

 千畳敷カールは、あまり期待をしていなかったが、それは良い方へ裏切られる。
 高くそびえ立つ険しい峰峯がワイドに迫ってくる、青い空の下、岩肌についた木々の緑と残雪の白が美しいコントラストを作っている。
 目の前に広がる景色は、こんなにお手軽に手に入れて良いのかと思う程の絶景である。
 乗車券売り場に長蛇の列
 
ロープウェイで千畳敷カールへ  雪が残る千畳敷カールの絶景 

 石がゴロゴロしたジグザグ道の八丁坂の急斜面を、息を切らせながら登って乗越浄土へ。
 右側には鋭くとがった宝剣岳(2931m)が存在感を示し、てっぺんでバンザイポーズをしている登山者が確認できる。
 中岳への緩やかな坂を登りきると木曽駒ヶ岳の本峰が姿を現す。  
乗越浄土から八丁坂を振り返る  存在感のある宝剣岳  乗越浄土から中岳に向う 

 振り返ると伊那前岳の後ろに、南アルプスの主峰が横一線に並んでいる。3000m級の主峰が作る長いシルエットが言葉を失うほどに美しい。
 2日間で登った甲斐駒ケ岳と仙丈ヶ岳、そして、北岳、間ノ岳、農鳥岳、・・・南アルプスのスケールの大きさを改めて実感する。
 
中岳からの展望、手前が伊那前岳、その後ろに南アルプスの主峰が並び、奥に富士山 
本峰登山道からの展望、手前中岳の後方に、左から伊那前岳、宝剣岳そして空木岳 

 中岳から一旦下り再び登って中央アルプス最高峰(2956m)の木曽駒ヶ岳の頂上に立つ、雲上の広い山頂で多くの登山者がくつろいでいる。
 嬉しいことに、ここでも360度の大展望が待っていた。
 中岳の後ろには伊那前岳から宝剣岳、そして、空木岳に繋がる稜線、空木岳が魅力的な山容で「ここまで来い」と誘っている。
 乗鞍岳、北アルプスもハッキリと観える。山頂付近が火山灰の色に包まれた御嶽山は凝視することが出来ない(合掌)   
山頂に設けられた神社  雲上でくつろぐ山ガール  乗鞍、北アルプス、剱・立山を望む 
 御嶽山に合掌 イワツメクサがたくさん咲いている  宝剣岳山頂から空木岳を望む 

 下山は中岳を右に巻くルートで乗越浄土へ戻り、宝剣岳をピストンする。
 山頂での1.5m岩上バンザイポーズは、見ている内にビビってしまい諦める。
 登る人と下る人で混雑する八丁坂を下って千畳敷カールへ。
 千畳敷カールでしばらく絶景を楽しんでからロープウェイで下界に降り、バスで芦ノ台バス停の駐車場へ。  
 ピストンした宝剣岳  ジグザグの八丁坂を見上げる  チングルマと宝剣岳 

 今回の山行は、「天気良し、宿良し、山良し、友良し」たくさんの出会いと喜びをお土産に帰路についた。