会山行紀行文 2015年
 4.22(水)〜4.23(木)
晴れ
鳥海山千蛇谷
バックカントリ

2236m
参加者 (紀行文) 1862 Y/I
3名
(男性3名) (写真) 1862 Y/I
≪コースタイム≫
4/22 新潟(13:00)=中島台(16:30)(テント泊)
4/23 中島台レクレーションの森(455m)(5:00)…水場(740m)(6:30)…稲倉岳東(1150m)(8:25)…1500m(10:40)…1600m(11:10)…1700m(11:30)…前進端(七五三掛1800m)(11:55-12:45)…稲倉岳東(13:00)…水場(13:25)…獅子ヶ鼻湿原あがりこ大王(14:00)…中島台(14:40-15:00)=新潟(18:30)
≪紀行文≫
                             〜〜〜爽やかな風に乗って鳥海山を滑る〜〜〜

 一昨年のちょうど同じ日に鳥海山千蛇谷を滑りましたが、その時の魅力に取りつかれ、再び挑戦してきました。
 ところがどうしたことか、今年は雪が異常に少なく感じます。

 4月の鳥海山はまだ麓も雪に覆われ、外輪山から新山のてっぺんは氷の殿堂のはずなのですが、それが黒く剥き出した岩肌がやけに目立ちますし、海老の尻尾やシュカブラなどどこにも見当たらず一面のザラメ雪に雨水が流れた黒い筋が無数に続く裾野でした。
 そういえば、本来なら通過する山形は満開の桜だったはずなのに、もうすっかり散ってしまい、まさに葉桜状態、秋田でさえも見頃はもう過ぎていました。

 今年はやはりおかしな天候です。でも見事に晴れ渡りました。
 しかも山スキーにとってザラメ雪はむしろ歓迎すべき雪質なのです。

 氷に閉ざされた少し怖ささえ感じる荘厳な雪景色を見るのも楽しいものですが、今年は、暖かく、滑るには絶好のコンディションでした。

 行程は、中島台レクレーションの森でテントを張り前泊、翌朝早めに出発し、獅子ヶ鼻湿原を突っ切って稲倉岳東面を延々と登り上げ、千蛇谷から新山に至り、そこから一気に滑り降りるというものでした。

 メンバーは3名、自分を除く2名はバックカントリーの大先輩です。

 何とか負けずについて行こうと頑張りましたが、水場、一昨年テントを張った場所ですが、そこからどんどん離されてしまいました。

 これも想定内、目指す新山も滑るコースもばっちり見えていましたので、写真を撮りながらののんびり一人旅としゃれ込むことにしました。

(クリックで拡大)
軌跡(赤が登り、青が下り)
獅子ヶ鼻湿原を出発、雪がありません。
ミズバショウが沢山咲いていました。
ブナ林の中ようやく雪を拾いながら
スキーで登ります
水場に到着、
一昨年はここでテン泊しました。

 山スキーの技術と言えば、滑る技術と思うかもしれませんが、スキーを履いて登るのも技術なのです。初心者とベテランとの差は歴然です。
 しかも自分のスキーは他人からの借り物で板とシールが合わない上に、荷物が重過ぎた。ま、これも経験の差なのでしょう。
 結果から言えば、ベテラン2人は同じ時間(7時間)で新山頂上(2236m)に到達、自分は七五三掛直下(1800m)がどうにかこうにか到達点でした。

 2人の話では、今年の雪は柔らかく、スキーを履いたまま新山頂上まで登れたとのことでした。

 例年なら、スキーを担ぎアイゼンで登るところですが、初めてだとのことでした。

 あの岩でゴツゴツした新山頂上にスキーで登る、皆さん想像できますか。

 暖かくて雪解けが早いとは言え、新山と七高山の間はまだ雪でスッポリ覆われているのです。

 自分も行きたかったのですが、もう少し鍛え上げたうえでリベンジすることにします。
アップで見る新山(右)、左は七高山です。
右から巻くようにあの鞍部に突き上げるのです。
筋のような模様は、
雨が降り水が流れた溝なのです。
急登に差し掛かりました。直登かジグザグか、技術や道具の差はこんなところでつきます 稲倉岳東面。どことなく春の気配。
外輪山(右)と新山、まだまだ遠い。 シュプールが見えます。
昨日滑った人のものかな。
今にも崩れそうな雪庇、
雪庇に関しては守門岳の方が立派です。
這う這うの体で七五三掛に到達、
ここで新山から折り返して来た2人と合流。
千蛇谷です。山スキーのメッカだけあって広大な雪原です。

 七五三掛からとは言え水場まで標高差は1000m、そこを滑る爽快感は何と表現して良いか分からないくらい素晴らしいものでした。
 登り7時間の道のりを、わずか1時間足らずであっという間に滑り降りました。
外輪山をバックに分身の手袋、
自分の写真は一枚もありません。
下山ルートを指し示す長老のロクさん。 テレマークで颯爽と、
このお方まさに超人、憧れます。

 水場で一息、山言葉で1本と言うのでしょうか。
 とにかくベテラン2人は休むことを知らないくらいいつまでも登り続け、そして一気に下りて来る。
 休息を入れないと登りも下りも追っつかない、自分の技術や体力が恨めしくなりました。
 それでも水場まで下りればホッとします。
 後は、ブナ林の中を雪を拾いながらゆっくり滑り降り、行きには素通りした獅子ヶ鼻湿原の“あがりこ大王”を全くの静寂の中でゆっくりと眺めました。
 またいつか訪れたいコースです。
水場を過ぎ、名残を噛みしめ
ブナ林を滑ります。
獅子ヶ鼻湿原手前のブナの森、鳥海自然
休養林の外ですが立派なものです。
かの有名な“あがりこ大王”、
誰も居ない静寂な空間でした。


 一昨年の記録は、2013年度の個人山行紀行文(2013/4/22-23)で紹介しています。

 よろしかったら比較してみて下さい。

                                   おわり
帰路眺めた鳥海山の全貌、
見る場所によって姿かたちは著しく変わります。