会山行紀行文
No−084
グレード:B
2015年
 7.28(月)〜29(水)
天候:下記記載
表銀座縦走山
  2922m(大天井岳)
参加者 (紀行文) 2117 Y/N 
9名
(男性4名・女性5名) (写真) 1833 M/N
≪コースタイム≫
27日 新潟駅(5:00)=中房温泉(9:00ー20)…合戦小屋(12:20−13:00)…燕山荘(14:00−40)…燕岳…燕山荘(15:55)泊
28日 燕山荘(6:30)…大天井岳(10:20−11:00)…常念小屋(14:00)泊
29日 常念小屋(5:30)…常念岳(6:40)…常念乗越(7:30−40)…王滝ベンチ(10:10−30)…ヒエ平(11:30)=(入浴)=新潟駅(17:00)
≪紀行文≫
〜〜〜いつまでも飽きない雄大な眺めが展開〜〜〜
(前置き)
 今から5年前の早朝、私は松本城太鼓門の前に立っていた。
 平成23年6月2日同年代の仲間と二人で塩の道(千国街道)踏破に向けて、これから糸魚川から松本へ向けて塩が運ばれた逆の道を辿ろうとしていた。
 安曇野に差しかかると塩の道は、北アルプス展望のみちになった。朝の澄んだ空気の中に朝日を浴びて常念山脈が眼前に迫ってくる。
 山歴の豊富な相棒は、中でもひときわ目を引く三角錐の美しい山を指してあれが常念だ。あれが大天井だ。と山では駆け出しの私に教授してくれたことを思い出す。その時以来常念は強く印象に残っていた山である。

(本文)
(第1日目)7月27日(月)快晴
 9名のパーティーを乗せたジャンボタクシーは新潟駅南を早朝5時に出発。中房温泉登山口(1450m)には9時到着。
 駐車場にはもう登山者の車がビッシリ。ナンバーを見れば横浜、滋賀、なにわ、岡崎と各地から来ていることがわかる。

 各自、身支度を整えて柔軟体操。リーダーのミーティングが終わると、晴天の中、今晩の塒“燕山荘”目指してさぁー出発(9時20分)だ。 
 メンバーの緊張感、昂揚感が敏感に伝わってくる。

 合戦尾根は急坂の連続で有名だ。スタートから樹林帯の中の急坂をただひたすら登る。
 樹林帯の中の開けた場所に丸太で出来たベンチがある。ここが第一ベンチで既に先客が大勢休憩している。さらに第二ベンチ、第三ベンチ、富士見ベンチまで急登がつづく。
 汗を拭き拭き登っていく山道を時折冷気が通過する。汗ばんだ身体に清涼感はなんともいえない。
第一ベンチで休憩  

 富士見ベンチを過ぎると登りも楽になり、合戦小屋はもうすぐだ。


 この小屋には売店があり休憩のみだが、早速名物のスイカを全員が注文する。
 直径30センチくらいのものを8等分したもので、がぶりつく。お値段は800円。

 ここでゆっくり昼食を摂り、小屋から最後の急坂を登って合戦の頭(2488.2m)に出る。  
さあ、合戦小屋まで頑張ろう!
 合戦小屋はもうすぐ  合戦小屋到着  お昼です、スイカを食べよう。
 ≪合戦小屋周辺の花々≫    

 ここからは頭上が開け、なだらかな稜線上に出る。陽射しが強くなる。“燕山荘”(2704m)まであと1時間少々である。
 “燕山荘“到着14時は、予定より1時間30分早い。
 リーダーから提案があり、いま視界良好・展望抜群のチャンスである。
 2日目の早朝に予定していた燕岳の頂上をこれから目指すことにしたい。これには全員異存無し。

 燕岳の稜線を山頂に向かって目をやると、風化した花崗岩群が自然のオブジェのようである。
 岩塊と砂礫の登山道を慎重に登り約30分で頂上に立つことができた。
 山頂から360度の大パノラマは圧巻だ。まず天を衝く槍の穂先、穂高連峰の山々、常念山脈が指呼の先に、烏帽子岳、水晶岳など裏銀座の山々、立山・剣連峰など北アルプスのほとんどが眼前に迫る。
 ここまでの急坂を歯を食い縛って登ってきたことなどあっけらかんとしたものである。
燕山荘まで後少し(後方に槍ヶ岳が) 燕山荘から燕岳が イルカも歓迎
燕岳山頂まで後少し(道脇にはコマクサ)
槍ヶ岳の雄姿、夕暮れもまた良し 燕岳山頂にて。皆元気一杯です。

 夕食前の懇談会は、みんなで夕暮れの屋外テーブルを囲んで、本日無事に山行できたこと、さらに明日の晴天を祈って乾杯!!

 食堂での夕食終了後、支配人のトークショウと期待していたアルプホルンの演奏を聴くことができた。

 山小屋の就寝は早い。

 寝具は布団型シュラフで保温力の高い中綿素材を採用している。
 就寝スペースはゆとりがあり快適だ。
山頂から戻り記念写真
    
(第2日目)7月28日(火)曇りのち快晴
 伝統のある山小屋(大正10年創設)“燕山荘”に別れを告げ、今回の山行のメーンルート表銀座縦走の出発は早朝6時30分。
 外は濃いガスがかかり視界不良のため景色は何も見えない。
 今日の天気を山小屋の主人にきいたところ7時か8時過ぎには晴れるだろうということであった。暫くは雨具を着ての行動になる。

 蛙岩を通過して大下りの頭では天空が明るくなってガスも晴れてきた。8時30分、槍・穂高連峰も姿を現して来た。もう大丈夫だ。
 急な下りも僅かで終わり、その先の為右衛門吊岩を通り抜ける。
 ここまで来ると大天井岳が周りのどの山をも凌駕して目の前に立ちはだかる。唯一の鎖場である切通岩を鎖を頼りに通過。

 少し行くと槍ヶ岳への分岐に着く。大天井岳の東側を巻くように登っていくと“大天荘”の前に出る。
 “大天荘”付近からは燕岳に至る稜線が一望できる。

 バックパックをデポし往復20分、常念山脈の最高峰200名山の一座、大天井岳(2922m)の頂上を目指す。
 ここまでの稜線漫歩では花崗岩の風化した砂礫地にはコマクサなど乾性の高山植物の群生が目を楽しませてくれた。

 昼食休憩の後、これからは東天井岳、横通岳、常念乗越まで緩やかな下降が始まる。

 背後を振り返れば“大天荘”が小さく見える。

 前方には常念岳から穂高連峰、槍ヶ岳の峰々がはっきり展望でき、歩きながらいつでも眼をやることができる。
槍の穂先が顔をのぞかせてくれた 大天井岳山頂にて

 “燕山荘”から“常念小屋”まで文字通りの縦走は、アップダウンが少なく稜線の幅も広く将に稜線漫歩の醍醐味を満喫することができた。
横通岳の中腹まで来ると、眼下の鞍部に常念小屋の屋根が見える。

 常念乗越からは今晩の塒、常念小屋はすぐそこだ。
 これから登頂するはずの常念岳が眼前に大きく立ちはだかる。2日間の疲れがピークに来ているだろうということと、ガスがかかってきたため展望が望めないこともあって、常念岳登頂は明日の早朝に変更。
 塒を確保し食堂に全員集合。本日は、みんなでNリーダーの古稀の祝をすることになった。誕生日おめでとうございます。生ビールで乾杯!!
   
(第3日目)7月29日(水)快晴
 常念岳は、常念山脈の主峰である。常念岳は、安曇野の象徴ともいわれ、この地を見守るようにそびえている。
 常念岳登頂から本日の一日が始まった。常念小屋の屋外ベンチに荷物をデポし、早朝5時に常念小屋を出発。

 今日も天気は最高であり、風も殆どなく快晴。周囲の山々が朝日で赤く染まっている。早々と下山してくる人と擦れ違った。
 御来光を見るために一足早く夜明け前の4時に登っていった者もいたようだ。

 常念岳へは岩だらけの道をひたすら登る。岩がごろごろした岩稜帯は、登るにしても下るにしても大変である。
 安曇野の上空にはスケールの大きい雲海が見られた。雲海から覗く朝日の輝きが素晴らしい。
 次は槍・穂高の方向に目を向けるとブロッケン現象だ。なかなか遭遇するチャンスが少ないので貴重な体験だ。

 常念山頂は大きな岩が積み重なり、その上に祠がある。対面に望む槍・穂高連峰は圧巻。いつまでも飽きない雄大な眺めが展開する。
 朝の大展望を楽しんだら下山しよう。狭い山頂に次から次へと登山者が登ってくる。
昨日まで歩いた山並みを背に
常念の山頂を目指す
常念岳山頂にて(最高の天気と最高の展望です)

 常念乗越に集合し、いよいよ下山である。林間をジグザグに下り続けると水場に出る。広々とした河原で、格好の休憩場所である。
 最後まで一ノ沢の左岸に沿って下っていく。胸突き八丁からは見通しの悪い樹林帯の中を下る。
 常に沢音を聞きながら下るため涼感があって気分がよい。登山道に水が流れ落ちてくるところもあり沢歩きのような感覚だ。最後まで沢に沿って下るので水分の心配はしなくてよい。冷たい沢でタオルを濡らすこともできるので好都合だ。

 ヒエ平に着くとジャンボタクシーが待っていてくれた。早速、ほりでーゆー四季の郷で入浴、3日間の汗を流しさっぱりして帰路に就く。

(終わりに)
 今回の山行は9名のパーティーだったが纏まりがよく、全員無事下山できたことは、みなさんが健脚揃いということもあったと思いますが、休憩時のNリーダーの山登りにつての基本的なトークは素晴らしかった。
 また、登山歴の豊富なMさんのときどきの助言に感謝!感謝!お互い助け合いの賜物であることに敬意を表します。
 それから班長さん、会計さん、サブリーダーさんありがとうございました。
 3日間天気に恵まれたことに感謝。自称晴れ男のNリーダーの面目躍如たるものがある。
 天は古稀の祝にふさわしい大きなプレゼントをしてくれた。

 “表銀座縦走”(燕岳・常念岳)万歳!!