会山行紀行文 2014年
 06.16(月)
晴れ
(きたまただけ)
北股岳日帰り周回
2025m
参加者 (紀行文) 1682 Y/I
4名
(男性4名) (写真) 1682 Y/I
≪コースタイム≫
新潟(4:20)=天狗平(6:20)…温身平(6:40)…砂防ダム(6:52)…うまい水(7:25)…梶川出合(8:08)…高巻き・引き返す…梶川出合(8:42)…石転びの出合(9:40)…本石転び沢出合(10:43)…草付き(12:04-23)…梅花皮小屋(12:54-14:00)…北股岳(14:30)…門内岳(15:19) …門内小屋(15:22-34)…扇ノ地神(15:56)…梶川峰(16:37)…滝見場(17:40)…湯沢峰(18:14)…天狗平(飯豊山荘入浴19:30-20:30)=新潟(22:00)
(標高差;約1615m、累計標高;約1830m、沿面距離;約18Km)
(行動時間合計;約13H、梅花皮小屋までの登り;約6H(高巻きロス除く))
≪紀行文≫
                              〜〜〜日帰りで石転び大雪渓に挑戦〜〜〜

 6月14〜15日に1泊2日で会山行として計画していたのですが、悪天候予報のため1日順延にしましたが、今度は人数が揃わずやむなく中止せざるを得ませんでした。しかし、未練がましい野郎4人で16日に日帰りで同じコースを周回してきました。
 ただ、野郎4人とは言っても、2人は石転び沢は初デビューでした。

 この日の天気は1日中安定していましたので、かなりの長丁場でしたが、無事周回し達成感を味わうことができました。
 でも、聞きしに勝るタフなコースで、足はパンパン、相当疲れました。4日たった今でもまだ筋肉痛に悩まされています。

 天狗平の飯豊山荘近くの駐車場に車を停め、登山届をポストに入れて、ゆっくりと歩き始めました。
 ブナの森―温身平(ぬくみだいら)の新緑と小鳥のさえずりが心地よく感じます。
 砂防ダムで一息入れて梅花皮沢左岸をどんどん進みます。ただ、この沢沿いの夏道、アップダウンもありますし、崩れたヘツリ道もありますので結構難儀です。雪が多ければ、早めに雪渓に降りて緩やかに登って行けるのですが、今年は何故か雪が少なめです。今年は山の方は大雪だったはずなのにおかしいなと思いつつも梶川の出合まで沢沿いの道を進みました。

 事前に調べた飯豊朝日の登山者情報によると、「夏道を辿って梶川出合から雪渓に上がったが、直ぐ上の大岩周辺の状態が悪く、水場に上がって高巻きし再び夏道に戻った。」とありましたので、迷うことなく梶川方向の高巻き道に入りましたが、梶川を渡渉する地点ではたと困りました。雪渓が嫌な状態で残っているのと、対岸の道がどうにもこうにも視認できないのです。やむなく再度高巻いて梶川出合まで戻りました。この間およそ35分のロスでしたが、2度の高巻きで体力の消耗はそれ以上のものでした。

 結局、梶川の出合から雪渓に乗りました。アイゼンを付け、一歩一歩踏みしめながら登りました。この辺りはまだ傾斜が緩やかですので会話も弾みます。
 ところどころ雪崩のデブリ跡もありますが、その中に1本の幅の広い筋が上方から続いているのが見えました。その末端には小型ダンプほどの大きさの岩がありました。なんと、幅広の筋は、この大岩が滑って来た跡だったのです。筋は門内沢に続いていましたので、そこから延々と滑って来たのでしょう。こんな大岩が滑っているのに遭遇したらさぞかし怖いことでしょう。

 そうこうしているうちに、石転びの出合までやって来ました。右に行けば門内沢、左に行けば石転び沢です。この分岐の石転び沢側に大岩があるはずなのですが、見えません。以前はその大岩で休んだ記憶があります。大岩が流されて消滅したのか、いやいや、むしろ今年は雪が多いのです。まだ雪の下なのでしょう。現に、この後通過する草付きもほんのわずかしか現れていませんでした。下は小雪、上は大雪、今年は変な年だったのですね。

 さて、ここからが本格的な石転び雪渓の登りです。
 雪崩の跡も沢山ありましたし、何と言っても音もなく飛んでくるという落石には細心の注意が必要なのです。
 傾斜も急になりますので、疲労度も半端じゃありません。そして、本石転び沢出合を過ぎると傾斜は一層きつくなります。
 アイゼンとピッケルをしっかりと雪面に突き刺して、1,2,3、1,2,3のリズムでしっかりと歩きました。やがて、草付きに着きましたが、本来ならここでいろんなお花が見れると思っていたのに、雪が溶けたばかり、わずかに岩石が露出しているのみでした。
 とにもかくにもここで足を休めます。

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歩いた軌跡。累積標高1830m、総延長18Kmに及ぶタフなコースです。

(クリック拡大)
周回コース総延長の断面図です。
大雪渓登攀は梶川の出合から梅花皮小屋まで標高差1140m、平均斜度は17〜18度ですが、本石転び沢出合からは急傾斜となり斜度はおよそ30度、最上部は45度の壁となります。
梶川の出合よりようやく雪渓に乗りました。例年はもう少し下で雪渓に乗れるのですが、今年は下部の雪の量は少ないようです。高巻きまでして余計な労力を消費してしました。 石転びの出合です。右方向は門内沢。ここから本格的な雪渓歩きが始まります。ピッケルでバランスを取り、アイゼンで雪を踏みしめながら進みます。 これぞ石転び沢、落石が点在し、雪崩の跡が黒い筋を引いています。
本石転び沢出合から草付きまでのほぼ中間点、いよいよ核心部に突入です。右の奥に北股岳があるのですが、右側(左岸)からの落石には細心の注意が必要です 上を見る分には傾斜は緩やかに見えますが、下を見ると恐ろしくなるほどの急傾斜です。
草付きに到着、まずは一休みですが、こことて安全な場所ではありません。周囲に気を配りながらの休憩です。本来、草付きはお花の宝庫なのですが、まだ雪が消えたばかりで、わずかに岩石が露出しているだけでした。上部の雪の量は例年より多いと感じました。

  梅花皮小屋はすぐそこなのですが、目の前の壁に阻まれて見えません。しかも詰めは急斜面のトラバースになります。
 気力を振り絞って慎重に進みました。しばらく我慢が続きましたが、梅花皮小屋の見えた時の嬉しさ、言葉には表現できません。
後続の仲間も登ってきました。相当疲労しているようですが、絶対に気を抜いたらいけません。どうですかこの傾斜。
草付きから見た上部の写真、梅花皮小屋は近いのですが見えません。早くも下山の人の姿が見えましたが、一歩一歩慎重に降りていました。この雪渓は下山はかなり危険なのです。 草付きから下を見た景色。

   梅花皮小屋周辺にはハクサンイチゲが群れを成して咲き誇っていました。実は、このハクサンイチゲに会うことも今日の目的だったのです。健気に咲いていてくれました。でもまだ咲き初め、少し物足りない気がしましたが、大満足でした。

 梅花皮小屋で遅めのお昼を食べ、疲れた足を休め、北股岳を経由して梶川尾根の下山にかかりましたが、これがまた、大変なアルバイトでした。最後の20分は、ヘッドランプを付けての下山になりました。登山口に着いた時は恥も外聞もなく抱き合って喜びました。
おわり
草付きを離れ、急斜面のトラバース、ようやく梅花皮小屋が見えました。もう一息。 梅花皮小屋に到着、北股岳が眩しく輝いていました。安堵と同時に嬉しさが込み上げてきました。この雪の割れ具合が何とも芸術的ですね。 少し霞んでいましたが大日岳もどっしりと。手前の白い点々はハクサンイチゲの群落です。
ハクサンイチゲのアップ、まだ早いのか茎が短いような。 後続のチームが隊列を組んで登ってきます。我々より1時間半ほどの時間差ですが、この方達は今日は小屋泊りなのでしょう。 鞍部に建っている梅花皮小屋、雪渓の詰めはこんな感じです。 
 北股岳頂上から南東の主稜線。梅花皮岳、烏帽子岳、御西、飯豊本山へと続いています。 石転び沢全景を俯瞰、よくぞここまで来たもんだという気持ち。 ハクサンイチゲ咲き誇るお花畑、ハクサンイチゲに会うのも今回の目的でした。
門内岳を過ぎ、扇ノ地神より梶川尾根を下りました。右のピークが北股岳、左が梅花皮岳、その間の鞍部より落ち込んでいるのが石転び沢です。鞍部の奥に大日岳、左奥には飯豊本山が見ます。贅沢過ぎるほどの圧巻の景色でした。  石転び沢と飯豊本山を眺めながらの下山コース、でも長くて急で辛い辛い下山道です。 白龍天に昇ると言われる“石転び沢”、ここを登ったのです。滝見場より眺望。