毎年夏になると、友人が所有する木曾・開田高原の別荘に昔の仲間たちが集まって、一週間程度過ごします。日程や過ごし方は人それぞれですが、今年はそのうちの一人と事前に示し合わせて、鋸岳に行くことにし、ヘルメット等必要な装備や食料を用意して別荘に出かけました。
鋸岳は40年ほど前に歩いたことがあります。どんなふうだったか、どう歩いたかはほとんど記憶が残っていませんが、クライミング装備で一歩も巻かずに稜線上を押し通して行きました。鋸岳名物の鹿窓も中を通過せず、覗き見た程度だったと思います。今回はもちろん一般ルートで、大キレットは巻き、鹿窓や小キレットは鎖にすがって通過することにしました。
ガイドブックでは、第二高点と第一高点(鋸岳最高点)間について、かなり大げさに書かれていますが、ルートは良く整備されていて、道は明瞭、さして困難な個所はありません。八海山の稜線ルートを腰が引けずに、おたおたせずに歩ける人なら何の問題もないと思います。
今回歩いたルートを通して鎖場は4箇所、甲斐駒ヶ岳から六合石室間で下降10mほどの鎖が一箇所、鹿窓への登りに30m近い鎖、小キレットの下降と登りにそれぞれ10m弱の鎖が付いています。
ロープやガチャモンなどの登攀用具は何もいりません。ヘルメットは無ければ無いでかまわないと思いますが、中ノ川乗越から角兵衛沢のガレ場間は被っていた方が無難だと思います。ちなみに中ノ川乗越から第二高点に上がる途中、3cmほどの石がヘルメットにぶつかりました。
角兵衛沢から第一高点を往復する人(ガイドブックの教えのせいか9割方はこの方法で登られている)は何の問題もありませんが、縦走しようとする人は次の点に注意が必要です。
◎水場 水は次の個所以外では得られない。いずれの場所にも水場を示す案内標識等は無い。
・角兵衛沢の大岩下の水場:樹林帯からガレ場に変わる境目あたり、沢左岸にある岩壁の基部に岩から染み出た水が したたり落ちている。
・六合岩室付近の水場:六合岩室から樹林帯の中の道を歩いて稜線に出るとザレ場になっている(このザレ場は岩室 から良く見える)。ザレ場に出たすぐの所に境界石柱と小さな石の祠がある。そこからザレ場を左に5~6m下ると 低木の藪が切り開かれていて、水場に通じる樹林帯の中の道に入れる。
下り5分、上り10分程度。道は急なので、水を入れた容器を手にぶら下げて帰るのは難儀、容器を背負う物を用意し ておいた方が無難。
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◎六合岩室
岩室の内部は、半分が板張りの床、半分が土間になっている。板張りのスペースに寝れる人数は10人程度。人数が多くなった場合、遅く到着した人は土間で寝ざるを得なくなる。土間はぬかるんではいないが、乾いておらず、湿ってぐちゃぐちゃしている。とてもそのままシュラフで寝ることはできない。板張りの床のスペースを確保できるように、人に先んじて岩室に到着できる自信が無ければ、土間で寝る羽目になることも想定して、テントのグランドシートなどを持参しておいた方が無難。8月16日(火)に泊まった人数は4人、最初に到着したのは我々だった。途中で出会った人の情報では、8月14日(日)の宿泊者は11人、何とか全員床で寝たとのことだった。
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◎テント場
4~5人用のテントを張ってのびのび寝ようなどとは思わない方が良い。2~3人用のテントでもまともに張れる場 所はほとんど無い。テン泊は夜露に濡れなければそれで十分と思うこと。
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甲斐駒ヶ岳山頂
ガスで少しボヤケています。
この日は北沢峠からずーっとガスに包まれていました。本来なら双児山から上では峰々の景観を堪能できるはずだったのですが、ずーっと何も見えませんでした。
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甲斐駒ヶ岳から鋸岳に向かう稜線
前方がガスに包まれています。
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尾根の上から見た六合石室
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六合石室の入り口
大きな石の板を風除けにしています。
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熊穴沢ノ頭からの第二高点(左のピーク)
第二高点へは中ノ川乗越に下って写真中央のルンゼを直登していきます。
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鋸岳一番の名物”鹿窓”です。
手前が長野側、向こうが山梨側です。長野側を巻いてきたルートは、鹿窓を抜けて山梨側に一旦入ります。
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第二高点
後は甲斐駒ヶ岳。甲斐駒ヶ岳に向かって5~6m戻った右側に大キレットを巻く巻き道があります。
前方は第一高点
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巻き道の途中から大キレットを見上げました。
巻き道は下まで降りるのではないかと思うほど下ります。
道は鮮明ですが、途中幾本ものショートカットのための踏み跡が分岐しています。
ショートカットの踏み跡はいずれ巻き道に合流しますが、合流点は岩場なので、自信が無ければ入らないことです。
ショートカットは必ず右手に分岐しています。
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第一高点直下の岩に花が咲いていました。
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第一高点です。
ガスで霞んでいます。
もちろん周囲は何も見えません。残念です。
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戸台川の渡渉点
こちらは左岸側。
角兵衛沢ルートから鋸岳に登る時は、ここから右岸側に渡渉します。
ここの右岸側には大きなケルンが立っています。
渡渉点の周辺は右岸、左岸とも大型テントも楽々張れる良いテント場になっています。
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