個人山行紀行文  2009.01.25(日)
兎平(うさぎだいら) 菅名山塊の冬山定番コース
1861 Y /I

25日の朝は、ここ新潟にも今冬一番の寒波がやってきた。道路はツルンツルンのテッカテカ。これではスピード出せず、いつもの倍以上の時間をかけてやっと登山口に到着。いずみの里に着いた時には既に10時を過ぎていた。

前の日にお誘いを受けたばかり、行き先が“兎平”というだけで、どこをどう歩くのか自分には皆目分からなかった。
今日のメンバーは楽山会でも猛者ばかり、彼等にとっては冬の山はどの尾根も全て登山ルートなのだから恐れ入る。果たして付いて行けるのであろうか。
でも、時間が遅くなったため、大蔵岳までは夏道を辿ると言う。ホッとした。

積雪期の菅名山塊は、いくつかの定番ルートがあるとのこと、大蔵岳から兎平の縦走もその1つである。自分にとっては初めてのコース、期待が膨らんだ。
前日土曜日から4、5日間は日本海側の各地は大雪の予報が出ていた。大荒れの天気も覚悟の上ではあったが、あにはからんや午前中は青空も見える良い天気であった。
しかも、気温が低いせいか新潟では珍しくサラサラの軽い雪が程よく積もっていた。

(パウダースノーをやっと掻き分けて着いた大蔵岳の山頂)

時間が遅かったせいもあり、大蔵岳頂上まではトレースの跡もついていた。
駐車場に車が2台止めてあったので、どうやら2組が先行しているようであった。
大雪の予報ではあるものの、例年から見るとかなり少な目の雪と先行者のトレースのおかげで、5合目過ぎまではつぼ足で快調に登って行った。

大蔵岳直下で、下山する1組(2人)と交差、もう1組(2人)が頂上の先、窪みになった所で風を避けて昼食を摂っていた。これから稜線を菅名岳へ向うとのことであった。
我々6人もここでお昼にしたが、ゆっくり食べている時間は無い。お握り1個をほおばってすぐに出立した。

 
(大蔵岳からの菅名岳、鳴沢峰と五頭連峰・宝珠山)


ここからは、もうトレースは無い。純白無垢の稜線をまずは分岐点である三五郎山を目指して交代でラッセルしながら前進した。
稜線は、さすがに風が強い。横殴りの吹雪に加えガスも出てきて、折角の景色もほとんど見えなくなってしまった。ただ黙々と歩き続けるのみであった。
いくつかのピークを越えたが、横山や風越山の分岐は気づかぬ内に通り過ぎていた。



(兎平を行く猛者連。それにしても今年はブッシュが多い)

そして、やがて緩やかな起伏の雪原に出た。どうやらこの辺一帯を兎平と呼ぶのだと言う。
今年は雪が少ないので、ブッシュがいっぱい出ていたが、本来はふっくらとした雪見大福のような広い雪原なのだそうだ。
兎の足跡もそこここに見え、満月の夜にはさぞかし賑やかな大運動会が繰り広げられているのであろうと容易に想像できた。
ただ、冬山では、このような雪原は鬼門である。今日はまだ見通しが効き、進む方向が見て取れたが、ガスに巻かれてしまったら、ルートファインディングは困難を極めることであろう。




(兎平、右後方は白山、左に権現山)

 兎平をほぼ通過した辺りでようやく休憩を取り、ウイスキーをたっぷり入れたコーヒーで一息入れた。ここまではほとんど歩きっ放しであった。荒れていた空も一段落し、風も遮られていて真冬にしては暖かくさえ感じた。
後は、尾根伝いに下るだけである。








(歩いた道を振り返る。ぼんやり霞む横山と三五郎山)

時刻は午後4時を回っていた。日暮れまで後1時間、とにかく最短距離で真ん中の尾根を下るのが一番と、後は尾根筋を外さないように気をつけながら一目散で降りて行った。
5時10分、麓に下りきった。夕闇が足元まで迫っていた。やれやれ。
ところがそこからが大変。疲れた身体での道路歩きの長かったこと。
しかし、何はともあれ、思い出に残る、楽しい山歩きであった。
                                         (おわり)