山行紀行文  11.07.31日(日)曇り
  .08.01日(月)曇り後雨
  08.02日(火)雨
  08.03日(水)晴れ
光岳・2591m
聖岳・3,013m
茶臼岳・2604m
上河内岳・2803m
参加者17名
(男9・女8)
2070 S/F
                             △△△△ 厳しくも思い出深い山行 △△△△
≪1日目(7/31)≫
 天気予報が日々変わり悪化方向へ。厳しい山だけに気がかりな一週間が過ぎ、天候を懸念しながらも、念願の光岳(てかりだけ)、聖岳(ひじりだけ)への出発の日が来た。普段使わない大きなザックを背負い、集合場所の新潟駅南口に行くと、やはり他の参加者各位のザックも大きい。
 初日は登山口近くの宿(ハイランドしらびそ)までの移動だけだが、とにかく遠い。飯田ICを出てしばらく進んでから狭い林道をひた走り、漸く約2000mの高地にある“天空の宿”「ハイランドしらびそ」に到着。
 「え!?こんなところに」と思うくらい、辺鄙な場所にそぐわない立派な宿だった。明日の天候を気にしながら早々に寝床の人となる。
天空の宿“ハイランドしらびそ” 明日からの健闘と安全を祈念し乾杯! 易老渡登山口にて登山準備
≪2日目(8/1)≫
 快晴とは言いがたいが、さわやかな朝を迎え、宿から用意して頂いた巻き寿司を頬張りながら登山準備。
予定通り全員集合し、登山口の易老渡へ出発。標高880mの登山口へは、林道経由の近道もあるらしいが、道路状況を考えチロルの里で
知られている下栗集落経由で向かった事と、細い林道の為やや到着時間が遅れる。それでも経験豊かなメンバーは、手早く準備を済ませ登山開始。
 
 歩き始めて直ぐに深い樹林帯の急登に取り付くが、徐々に空模様が怪しくなり、霧雨から小雨そして本格的な雨。急ぎ、雨着を身に着けるも、急登の登山路には雨着は切なく気が重くなる。
 急登の途中からメンバーの体調に合わせ、“早く登り隊”と“ゆっくり登り隊”に別れる。しかし、この登山路は道標が少なく、たまにあっても距離表示や時間表示が無い為、結構不安を感じる。
登山口取り付きの橋を渡る 急な樹林帯の登りが続く 易老渡岳分岐(分かり辛い)
 やっと易老渡岳分岐に到達し樹林帯の稜線歩きに変わるが、結構アップダウンが激しい。特に光小屋手前約1時間は「ここ登山路?、間違っていない?」と不安を覚える。涸れ沢の歩き辛い急登が続き、今までの疲労がいっそう登りをきつく感じさせられる。
 しかし、登りきったイガルヶ岳分岐付近は花も豊富であり、「雨が無ければ良いのに・・・」と、カメラを抱え残念顔。

 やっと辿り着いた光岳小屋にリュックを預け、「早く登り隊」が山頂を目指す。
山頂まで続く樹林帯と展望の無い山頂に接し、“巷の評価”が頭を過ぎるが、苦労のし甲斐がある山としてはやはり“名山”と評価したい。
あいにくの雨模様の為、光石見学はあきらめ光岳小屋に戻る。

 小屋の自炊時間が16:00〜16:45と短く、急ぎお湯を沸かしメンバーと分け合う頃、「ゆっくり登り隊」が無事に到着。
夕食もそこそこに明日の長い行程を考えてか、早々に“寝袋の人”となる。一部メンバーになかなか寝付かれないからなのか、お酒が効いたのか遅くまで会話が弾んでいたが、会話が終わったのが先か小生が眠ったのが先か不明。
 深夜0時頃、駿河湾震源、静岡市5弱の地震に飛び起き、後は「林道が崩れてはいないだろうか…」等が頭を過ぎり、うつらうつら。
歩き辛い急登が続く イガルヶ岳分岐付近(雨が恨めしい 光岳小屋でくつろぐメンバー
≪3日目(8/2)≫
 薄い靄がかかるも雨は上がっていたので、「ゆっくり登り隊」が山頂登頂を経て戻って来るのを待ち、スパッツ装着だけで一路今宵の寝場所を求めて聖平小屋へ出発。
 途中、昨日は雨で良い写真が撮れなかったイガルヶ岳分岐付近は靄がかかり、尚更良い写真は望めなかった、まことに残念!。そして間も無くまたもや雨。

 易老渡岳山頂を軽くタッチし、更にその先に足を進めて仁田岳との分岐点・喜望峰を通過し、300名山の茶臼岳に到着。
雨の割には快調に進んできたが、如何せん期待した展望は叶わなかった。ここで軽く行動食?の筈が、気がつけば結構本格的に食事するメンバーも居たが、他のグループとの情報交換や写真撮影をしていて食事のタイミングを逃した小生は、急ぎパンを流し込む。
 茶臼岳小屋分岐を過ぎて間もなく、広い草原にでたが雨で折角の草花の美しさを楽しむことは叶わなかった。
出発前に光小屋にて 喜望峰に至る樹林帯 茶臼岳山頂にて(雲で展望は叶わない)
 樹林限界を過ぎ高山らしくなったころ、右手に200名山・上河内岳の大きなシルエットが浮かんできたがガスが濃く写真にはならない。
上河内岳の肩(分岐路)にザックを置き、上河内岳を目指すもメンバーの登る速さに撮影担当の小生は、カメラ片手に必死で追いかける始末。
 漸くたどり着く頃には、先頭集団は折り返し下山に入っていた。とりあえず山頂写真を撮りシンガリを務め追いかけるも、下山も又早い早い
“下りの楽山会”らしさか?、転げ落ちる様な速さで肩に戻ってきたら、既にメンバーの多くは出発支度、ここで昼食じゃなかった?と思っていたのは小生だけなのか。即、出発の合図。皆が立ち去った上河内岳の肩分で、雨に打たれながら一人で急ぎ昼食を胃袋に流し込み、皆の後を追う。
直ぐにメンバーに追いつき南岳へ、道標は聖平小屋まで60分表示。ここで聖平小屋での手続きをする為に“先に行き隊”と“急がず行き隊”に分かれる。

 しかしこの時点で、“急がず行き隊”の不安な登山が始まることは知る由も無かった。
南岳からどんどん下る、更に下る、行けども行けども下る、明確な道標は無し、一体何処まで下るのか?ひょっとして道を誤ったか?、60分を過ぎてもそれらしき小屋は見えず。地図を幾度確認しても、道はこれ一本。不安が高まる頃、漸くそれらしき湿原に到着するも、肝心の小屋は何処?。

 漸く小屋への分岐を発見したときは正直“ホッ!”とした。道標の設定時間は絶対に間違っている!“下りの楽山会”の速さなのに・・。到着した山小屋で雨具を干し、軽く酒宴。直ぐボリューム豊かな夕食が始まり、そして終って間も無く、全員“寝袋の人”となる。
明日の天候回復と聖登頂を夢見て・・・・zzzzzzz。
上河内岳の肩への登り 南岳山頂(小屋まで60分と明記されている) やっと辿り着いた綺麗な聖平小屋
≪4日目(8/3)≫
 「晴れている!」誰もが叫びたくなるような朝を迎えた。聖岳が待っているぞとばかりに、早々の準備を整え聖平小屋を出発。
小屋を出て直ぐに急な登山路に入るが、時折、差し込む朝陽がとても気持ち良い。そして間もなく聖岳への薊畑分岐点に到着。
聖平小屋に陽が差した!(笊ヶ岳方向から) 聖平小屋にて 朝陽を受け薊畑分岐点に向かう
 ここで、登頂に不必要な荷物をデポ(”デポゼロ”〜“殆どデポ”のメンバーまで様々)し、やや軽くなったザックを背負い、登りの樹林帯に入っていく。
 しばらく登ると樹林帯も徐々に明るくなり、遠くに富士山も望め、そして間も無く小聖岳のピークに立つ。
後方に聖岳が大きく広がり、その手前に険しそうな岩稜の登山路が見えており、山頂付近は広い砂礫地帯が続いているようだ。
薊畑分岐点で一部をデポする 遠く富士の山が見えた!! 聖岳(後方)の門番のような小聖岳山頂
 足元が岩稜や砂礫の不安定で厳しい急登をひたすら登り続ける内に、徐々に隊列が伸びてきてしまうが、ここは無理をせず各自のペースで登った方が得策と言える。それでも先頭が登頂し、全員が無事“這い上がって”くるまでさしたる時間差は無かった。

 素晴らしい360度の絶景…、残念! 目の前の赤石が雲に隠れている。それでも大満足、悪天候だった2日間かけてここまで登ってきたご褒美と、しばし贅沢な休息を楽しんだ後、高低差2200mの下山開始。
 下山早々から山頂を雲が覆い始め、思わず「小屋を早く出てよかったね」との会話が聞こえる。
聖山頂を目指して急斜面を登る 険しい岩稜を登る 砂礫帯に入ると山頂も近い
 急勾配のガレ場を快調に降りるメンバーを見ながら、「凄いなあ!」とつぶやく。
途中小聖岳の休憩はあったものの、荷物をデポしてある薊畑分岐点まで一気に駆け下りた感が色濃く、やはり楽山会のメンバーは“凄い!”。
 薊畑分岐点から便ヶ島登山口までは長い樹林帯の急勾配、しかも根が張っていたり、岩場ややせ尾根、ぬかるみ等が随所に現れ難儀な下りを強いられた小生だったが、メンバーの後姿はなんのその、実に軽やか。登ってきた登山者と情報交換をしている間に後姿が完全に見えなくなってしまうほど。慌ててメンバー追う小生は泥地でスッテンコロリン、手足が泥だらけ。

 どんどん標高を下げていくと、沢の音が徐々に大きくなってきて、長い長い下山の終わりが近付いてくることが分かる。
廃屋になっている造林小屋の裏手に降りると、もう沢は目の前、凄い水量だ。沢の対岸に渡る手段の木橋は流されているが、大きな金属製の籠が設けられていて、自力で対岸に渡ることが出来る。皆で力を合わせて籠を幾度も往復させ、全員無事に対岸へ。想定外の、実に面白くて楽しい体験が出来た。
 冷たく気持ち良い沢水で顔を洗い、平坦な林道(ところどころ崩れていた)をゆったりとした気持ちで歩き、程なく便ヶ島登山口に到着。

 地震で一部崩壊があったとの情報でバスの迎えを心配していたが、駐車場にバスの姿を目にした時、メンバーからバスに向かって「お〜い、お〜い」と大きな声で呼んでおられたが、気分は分かる。
山頂近くから下山路を見降ろす 薊畑分岐点から湿っぽい樹林帯が続く 西沢の渡し籠(男性陣が頑張る)













 長く厳しい山行ではあったが、その分思いでも
大きく深いものになった。

 「遠山郷かぐらの湯」で汗を流し、新潟への長い帰路も楽しい笑い声が絶えなかったことが、この山行の素晴らしさを表していると思った。

リーダーはじめ、メンバー各位に感謝感謝の思いが一杯です。     
                                (おわり)
光岳山頂にて  左:“早く登り隊”  右:“ゆっくり登り隊”
聖岳山頂にて  明るい日差しを受けて全員で「ニッコリ」
付録:今回の山行では、多くの可憐な花に出合いましたので、その一部をご紹介します。
≪コースタイム≫
(7/31) 新潟南口8:00=飯田IC=ハイランドしらびそ15:15
(8/1) ハイランドしらびそ6:00=易老渡登山口(7:45-7:55)〜易老渡分岐12:25〜センジュヶ原14:50〜光岳小屋15:10〜光岳15:30〜光岳小屋15:45(泊)
(8/2) 光岳小屋5:30〜易老渡岳7:50〜喜望峰8:30〜茶臼岳10:20〜上河内岳12:45〜南岳13:25〜聖平小屋14:55(泊)
(8/3) 聖平小屋5:10〜薊畑分岐(5:30-5:45)〜小聖岳6:30〜聖岳山頂(7:40-8:20)〜薊畑分岐(9:35-10:00)〜便ヶ島登山口(13:35-13:50)=遠山郷かぐらの湯=飯田IC=新潟駅南口22:15