会山行紀行文 11.06.18日(土)
曇りのち雨
  NO.55
四阿山・2354m
根子岳・2207m
参加者
18名(男13・女5)
1862 Y/ I

                                

コースタイム
 新潟駅南口600=北陸道=上信越道上田菅平IC=菅平牧場(945-1000)〜小四阿1105〜中四阿1140〜分岐1230〜四阿山(1245-1320)〜根子岳1445〜菅平牧場(1600-1620)=さなだ館入浴=新潟駅南口2045

        ・・・・・・・雨でも楽しい四阿山!!・・・・・・・

 信州上田、菅平高原を代表する名峰2座を巡る山行とあっては逃す手は無い。躊躇無く申し込んだ。名峰2座とは、言わずもがな、日本百名山にも登場する美しい山、四阿山(あずまやさん・2,354m)と流れるような稜線を見せる花の百名山根子岳(ねこだけ・2,207m)である。
 四阿山は、深田百名山の中で「ピッケル・ザイル党には向かないかも知れぬが、しみじみとした情緒を持った日本的山である」と紹介されている。その上、リーダーのお勧めでは、浅間、北アルプス、志賀高原の山々を展望する絶景が売りと言う。そして、ツツジの群落。これだけ聞けば、気持ちが逸るのは自明の理、心が浮き立って仕方なかった。

 さて、しからば気になるのは山の天気。仲間うちでは「我こそは晴れ男、晴れ女」と自負する輩も多いようであるが、自分は天気の当たり外れはどう御せるものでもなく、宝くじと同じと思っている。ただただ、当たってくれと願うのみである。
 この日の信州上田地方の予報は、終日曇り。しめしめ、このくらいなら良しとしよう。しかも、流れとしては好天に向っている。まずまずの天気だな。などと思いながらバスに揺られて3時間半、老若男女18名は菅平牧場に到着した。

 ところが、何故か、牧場の入口でバスは止まったまま動こうとしない。リーダーがなにやら受付の女性ともめている。看板を見ると「入山料、大人200円、子供100円」とある。ははぁ〜ん何やら交渉しているのだなと察しは付いたものの一向に戻って来ない。
 挙句の果てに携帯電話まで取り出して誰かと交信している始末。おいおい早く行こうやと気がもめる。そうこうしているうちに、ニコニコしながら戻って来た。交渉成立、どうやら半額まで値切ったらしい。おいおいこちとら子供じゃないぜ、それにレンゲツツジを半分しか見るなと言われたら嫌だぜ、とは思うもののリーダーの熱意にはほだされた。 帰路の精算で一人一人にこの100円が戻ってきた時には嬉しかったなあ〜。もっともその何倍も泡と消えてしまったのは言うまでも無いが。
左)根子岳への登山道入口、普通はこちらから歩き始め、真っ先にレンゲツツジの群生を見るのですが、何故か逆周りを取りました。
中)四阿山への登山道に入ると、緑の風が心地良く肌を吹き抜けました。それにしてもこの巨木は何?
右)最初はなだらかな山道、鼻唄を歌いながら歩きたくなるような緑のトンネル。この白いお花、あちこち咲いていましたが、誰も名前が言えませんでした。
 前置きはこのくらいにして、牧場の様子を紹介しよう。とにかく長閑、そして雄大、見渡す限り緑の台地が広がり、ゆったりと牧牛が草を食んでいた。その緑の中に、根子岳登山口の方向に、遠く火の如く燃える一画があった。レンゲツツジの群生であった。
 通常は、ガイドブックを見ても、まずはレンゲツツジの群生を見て、根子岳に登り、四阿山へ行き、戻ってくるという周回コースを取っている。
左)こっちの方にもレンゲツツジはいっぱい咲いていました。まだ咲き始めでしたが、ゆらゆらと揺れながら燃える朱色が眩しかった。
中)レンゲツツジを縫うように山道は続いていました。足元を見れば、アズマギク、スズラン、ハルリンドウ、ミツバオウレン、イワカガミなど小さなお花達も迎えてくれました。
右)森を抜けると眼下に広がる広大な草原(牧場)、タラレバは女々しいけれど、ここに北アルプスがあったなら。

 しかし、我々はへそ曲がり、逆周りのコース取りであった。自分には初めての山なのでどっちでも良いけれど、実はこれが巧妙に計算されたリーダーの偉大なる配慮なのであった。
 最後にレンゲツツジの大群落を見せて締めくくる。この山行のヤマ場、感動の頂点を最後に持ってくると言う偉大なる演出だったのだ。

左)新緑に色づいた草木の海原のその先に四阿山が秀麗な姿を見せていました。目指すはあの峰、神の峰。
中)レンゲツツジは咲き始め、これからですが、まだまだ存在感を誇示するムラサキヤシオ、終盤ですが見事な勢い。
右)いわずと知れたイワカガミ、この山の見どころはレンゲツツジだけでは決してありません。むしろイワカガミこそがこの山の女王の如く咲き誇っていました。

 しかも、雨までも味方をしてくれた。本当は晴れて絶景をも見たかったので、半分は負け惜しみなのだけれど、四阿山の頂上間近から振り出した雨、しっとりと濡れたお花はすっごくきれいに見えることと、霧にむせぶような景色が、実に幽玄な趣を醸し出していたのである。

左)四阿山にリーチを賭けたその時から、しとしとと天からの贈り物、本来なら分岐でお昼の予定でしたが、そのまま前進です。
中)細長い四阿山の頂上の両端には、2つの祠がありました。信州の方へ向いて立った信州祠と上州の方へ向いて立った上州祠です。そして、腰を降ろすと同時に雨が止んでくれました。神のおかげ、楽しいランチ。
右)四阿山と根子岳の鞍部を“十ヶ原”、“大すきま”と呼ぶのだそうです。2000mとは思えない広大な笹原、霧が湧くと一層幽玄できれいです。

 さらに、最後に見たレンゲツツジの群落の実に見事なこと。雨でも楽しい山歩きとなったことは、リーダーの思惑にどんぴしゃ、いつまでも印象に残る山行となった。しかも、登りの行程、お昼の休憩、下山後の山仕舞いの間はぴたりと雨は止んでくれたのである。

左)一瞬ガスが晴れると根子岳が見えた。ほんの一瞬でした。さあ、花の百名山に登りましょう。
中)でも、この天気もう少し晴れると良いのに。何か天空を歩いているような気がするぞ。
右)一足飛びに根子岳を過ぎると、一気に高度を落とします。白樺の木々が映える緑の森、点在する橙色のコントラストが鮮やかでした。


 ラッキーと喜ぶのは簡単だけれど、リーダーの熱意と日頃の行いが山に通じたものと、参加者一同感謝に耐えない。

 日を改めて、また季節を変えて訪れたい山となったのはいうまでも無い。          (おわり)
左)牧場のすぐ上です。やって来ましたレンゲツツジの群生地。それにしても、皆、何でそんなに急ぐの?もっとゆっくり歩こうよ。
中)牧場の駐車場が見えてきました。懐かしいバスが見えました。雨に濡れた重い靴を脱ぎましょう。そして美味しい採れたての牛乳を頂きましょう。
 四阿山頂上での集合写真。

この笑顔見てください。雨でも楽しい山歩きでした。