会山行紀行文 10.10.9日(土)
曇りのち小雨
NO.109  
安達太良山・1700m
参加者22名
(男8・女14)
2040 K/K

            *画像提供は、2040K/Kさんの他に、1626I/Nさん、2027I/Mさん、2077S/Sさんでした。

≪コースタイム
  新潟駅南口6:05=安田IC=猪苗代磐梯高原IC=沼尻登山口8:30〜分岐9:10〜胎内岩〜鉄山避難小屋11:10
  〜12:00〜分岐〜安達太良山12:3013:00〜分岐〜船大明神13:15〜沼尻登山口15:20=湯郷布森山入浴16:30
  
=新潟駅南口18:45

『智恵子抄』(あどけない話)
          作:高村光太郎   
 

 智恵子は東京に空がないといふ、
     ほんとの空がみたいといふ。
 私は驚いて空を見る。

   (・・・略・・・)

 智恵子は遠くを見ながらいふ。
   阿多多羅山の上に
      毎日見てゐる青い空が     
 智恵子のほんとの空だといふ。
      あどけない空の話である。

  
 智恵子抄で人気のある安達太良山。私は4〜5年前の6月岳温泉から「あだたらエクスプレス」ポピュラーコースで行ってきました。「秋の安達太良もいいよ」と言われ、いつかまた!と胸に秘めていたところ、折しも秋紅葉の時期に違うコースからの登山案内があり、さっそく申し込みました。
 秋の天気は移ろいやすいもの。近づくにつれ天気が気になってしようがありません。 どんよりした当日の朝、バスに乗り込むとさっそくリーダーからの挨拶。そこは「目配り・気配り。思いやり」の田中リーダーです。「ウェザーニュース」「ヤンマーマー坊天気予報」「ヤフー天気予報」と調べ上げていました。

 登山口を入ってすぐに、りっぱな「鎮魂の碑」。平成9年9月、沼ノ平おいて有毒火山ガスによる死亡事故発生があったとのこと。その時はまだなるほどと思っていただけでしたが・・・登山道や見上げる山々は紅葉真っ盛り!皆、歓声をあげてシャッターを押し続けました。展望台から見る白糸の滝周辺も色づいています。

白糸の滝 紅葉 奧には沼ノ平が 錦織りなす山肌

 30分ほど登ったと思われる頃、「沼尻登山口←→船明神コース」分岐の看板。私たちは、行きは沼尻コース(胎内岩・鉄山)、帰り船明神コースで沼ノ平噴火口をぐるっと一周します。
 眼下に硫黄川・湯ノ花採取場が見え、今までの樹林帯と一変して荒涼とした風景が広がります。せっかく登った分以上に下り、硫黄川の河原へ。ツ〜ンと硫黄のにおいがしてきました。この辺りから、やたらと看板が・・「危険!」「立入規制」・・・登山口の「鎮魂の碑」の意味がようやく分かりました。ゴボゴボと湯が噴き出し、黄色い硫黄の色。沼尻温泉の取り入れ口になっているそうです。川は天然の露天風呂!リュックを置いた登山者らしい人が気持ち良さそうに入っていました! 

硫黄川へ下る 湯の花採取場 いい湯だな〜

 河原をしばらく登ったところで、念のため雨具に着替えました。だんだんごろごろと岩が出始め、あえぎあえぎの急登です。見上げると大岩が壁のように切り立っています。岩をぬって進むと、いよいよ胎内岩、岩くぐりです。「緊張するな〜」組と「おもしろそ〜」組と。リュックを担いでは入ることができないので、リュックをおろして前の人に受け取ってもらってやっと入ります。ひとりひとりメタボ検診〜みんなOK!

岩の間を縫って進む 岩くぐり 出口です

 なおも岩の急登。「ここを頑張れば、あとは平らだから!」とリーダーのやさしい叱咤激励。ようやく平坦な道に出ましたがガスがかかってよく見えません。おまけに風も強くなってきました。ぼんやりと前方に奇妙なものが見えてきました。近づくとケルンの上にプロペラ。「石楠花の塔」といって墜落事故の慰霊碑のようです。しばらく平坦な道を進むと鉄山避難小屋に到着。赤いドアを開けるといいにおい!先客でいっぱいです。ようやく場所を空けてもらって、昼食タイム。温かいコーヒーのおいしかったこと!

ガスに浮かぶ「石楠花の塔」 楽しい昼食

 この天気ではピストンで戻るのかと心配していたら、LLさんとの協議の結果、ここまでと同じ状況だから進みましょうとのこと。「ヤッター!」 鉄山から下り、後はわずかのアップダウンで稜線を進みました。ガスで周りが見えなく平坦なので「ここは、東京かな〜」などとおどける人も。
 晴れていれば天上の散歩道です。ガスの山頂下広場に着くと、さっそく乳首の先に向かって登り始めました。鎖やロープなどありましたが、ほんの5分で祠に到着です。晴れていたら360の大展望だったでしょうが、今日はここまで来ることができたことに感激です。(実は私はここに立つのは初めてでした。)記念写真を撮り合い、下の山頂標識で集合写真。

山頂到着 ホントの山頂祠 分岐まで引き返す

 山頂に別れを告げ、分岐から船明神に向かって歩きます。風が強くて吹き飛ばされそう!!でもそのおかげでガスが吹き飛び、視界が開けました!沼ノ平の荒々しい大噴火口。まるで月世界のようです。登山口から少しづつ見えていた白い沼ノ平が、途中ガスで見えなくなり、ここで全容を見せてくれたのです。片や荒々しい月世界!反対は・・と見ると、安達太良山とその下に広がる樹林帯の紅葉!こうも対照的に見せてくれるなんて。沼ノ平の向こうには来る時の登山道と岩くぐりの岩稜が。

月世界のような沼ノ平 振り返ると安達太良山頂 反対側の紅葉
強風の稜線歩き 色づいた葉 紅葉の中の下山

 稜線から船大明神・障子が岩の岩場になり、途中池が出現しほっと一息。次第に紅葉の樹林帯に入ります。ここからは「下りの楽山会」本領発揮!木の根をつかみ泥だらけになりながら、すごい速さで下りました。
 予定よりかなり早く到着しましたが、その分温泉でゆっくりできました。さっぱりした顔は笑顔笑顔・・手にしたビールは大缶でした!帰りのバスは和やかに「カンパ〜イ」「智恵子抄」の歌まで飛び出し、ほぼ予定通りに新潟駅到着でした。

憧れの秋の安達太良山行が、こんなに早く実現すると思っていませんでした。荒々しい沼の平噴火口と見事な紅葉の対比が素晴らしかった!

 変化に富んだルートを計画してくださり要所要所でうれしそうに時間をとってくれたリーダー・LL・SL・班長・会計の皆様、そして同行の皆様ありがとうございました。

 智恵子抄のほんとの空に会いに、晴れた日にもう一度登ってみたいです。




山頂標識前での集合写真