会山行紀行文 09.07.18(土)〜
    19(日)曇・雨
NO.63 秋田駒・1637m〜
      乳頭山縦走・1477m
参加者18名
(男性6:女性12)
1744 N/S

                                                *写真提供は、リーダーの 1633 S/Sさんです。

一日目は歩行距離15k、歩行時間7時間20分。
秋田駒ケ岳八合目より笹森山、湯森山、笊森山
, 乳頭山へと緩やかなアップダウンの繰り返しです。道は荒れて滑りやすい木道があり、けっしてルンルン気分では歩けませんでした。
 
 山と山との鞍部は湿原になっていて、特に笊森山から千沼ケ原を見下ろす眺めはいくつもの地塘が点在し、黄色く見える所はニッコウキスゲが咲いている所で息をのむ美しさでした。前方には一瞬ではあったが岩手山も見えました。緑深くやさしいたたずまいは、尾瀬を思わせます

  

  
 梅雨明け直前のこの時期は雨に遭う確率が高いが、植物が一番輝いて見える美しい時です。特に印象に残ったのは、やはり目の覚めるような黄色のニッコウキスゲの群落、夢見るような柔らかいピンクのハクサンシャクナゲ、今までにこんなにたくさん見たのは初めてのトキソウ、テガタチドリ、ヨツバシオガマ、黄色のトウゲブキ、ウサギキク、キンコウカ、白の雪が解けたばかりの地に出たミズバショウ、チングルマ、モミジカラマツ、イワシヨウブ、オノエラン、イワイチョウ、エゾシオガマ、東北にだけ見られるヒナザクラなど、種類の多さ数の多さに感激しました。
 
出発の時ポツリポッリと降り始めた雨は、昼食までたいしたことはなかったが、それから本格的なシトシト雨になりました。乳頭山で記念写真を撮り、田代岱山荘の避難小屋で25分ほどゆっくり休み雨への完全装備をし直して、いよいよ樹林帯の荒れた道の下山です。
 注意深く忍耐強く、黙々と歩きました。1時間半ほどすると大きな川の音が聞こえ、突然私達が泊まる孫六温泉の前に出ました。
予定よりも30分速く16時30分着でした。
  

  

  
 乳頭温泉卿には7軒の宿があり、それぞれ泉質が違うのだそうです。孫六温泉はラジウム鉱泉で、あの有名な玉川温泉に似ています。玉川温泉は酸性が非常に強いが、孫六温泉は弱酸性なので入り易い。
 夕食前にまずひと風呂。冷えた体には非常に熱すぎると感じたが、入れないことはない。しだいに気持ち良くなる。風呂場には浴槽があるきり、ジャンプーとリンスと固形石鹸はあるが他にハなにも無い、水もありません。こが本当のひなびた温泉なのだ!

 
 夕食の時、宿のご主人の挨拶がありました。5年続けて来てくださったことに感謝され、地酒「孫六」1升が振舞われました。甘口のおいしいお酒でした。山菜と稲庭そうめん、きりたんぽなべなど秋田の美味しい代表料理に舌鼓をうちました。

 一晩じゅう激しい雨が続きました。空が白み始めると同時に起きだし、外のお風呂の棟へ向かおうとしたが、雨が激しくしばらく待ってみたが変わらないので、意を決して傘をさして向かった。すぐ前の先達川の水は赤茶けた濁流で今にも氾濫しそうな勢いです

 朝食の時、一日目と同じ秋田駒八合目より山頂へと向かう、二日目の予定登山は中止に決まりました。この雨では誰も反対する人はいませんでした。秋田地方には大雨洪水注意報がだされていました。
 そうと決まればゆっくりと3度目のお風呂です。この時ほど長くみんなと話しながら、出たり入つたりしてゆっくり過ごしたのは初めてです。

 帰路は盛岡に出て、花巻で宮澤賢治記念館に寄りました。新潟駅南口へは予定よりもはやく19時5分に着きました。

 今回の目的は、日本二百名山であり花の百名山である秋田駒ケ岳へ登ることでしたが、その楽しみは先送りされました。非常に残念だったという思いは少しもありません。と言うのは、一般にあまり知られていない秋田駒の裾野にひろがる大湿原があまりにも素晴らしかったからです。
 乳頭山も縦走して始めてその魅力が増します。ひなびた孫六温泉の出会いも忘れられません。木道で滑ってしばらく立ち上がれないほど打つた腰の痛みも、3回の入浴でだいぶ良くなりました。来年もう一度参加したい山旅です。
                                         (おわり)