会山行紀行文  2009.3.21(祝) NO.12 (L:1861K/Y)
大展望の山歩き
黒手ノ峰・828m 1911 T/S

                                                         *写真提供: 1862 Y/Iさん

日焼けしてごわごわと少し張った顔、けだるさを交えた筋肉痛の足が昨日の山行の厳しさを物語っている。
予定は春分の日20日の山行であったが、天候を勘案して1日延期された。それが大正解、素晴らしい好天に恵まれた。
目的の山は奥胎内・黒手ノ峰(クロデノミネ 827.8m)である。参加者13名。

≪行程≫
 胎内スキー場6:55−7:08取付点−8:45牟礼山−10:58一本松−11:46小川の頭−12:20黒手ノ峰(お昼)13:13−13:35
 小川の頭−14:18一本松−17:05胎内第二発電所−17:30スキー場
≪総所要時間(休憩含)≫
 約10H35分(登り約5H25分、下り約4H17分、昼休憩約53分


胎内第一発電所までの林道が冬季間閉鎖されているため、胎内スキー場からすぐに支尾根に取り付き、牟礼山を経由しての薮尾根周回の総延長17Kmにおよぶ長帳場の山歩きだ。参加者は精鋭13名であった。
7時少し前に胎内スキー場を出発。林道の橋を2つ越えた所から取り付く。いきなりの雑木林の急登であった。

送電線鉄塔までで早くも顎が上がってしまった。ここで1回目の休憩。しかしのんびりする訳にもいかない、先はまだまだ長いのだ。
そこから先は薮と雪の尾根、しかし牟礼山までは踏み跡もはっきり付いていたし、雪も締まっていたのでワカンも不要、さほど苦労せずに程無く山頂に着いた。
この牟礼山(616.4m)からの展望もなかなかのものである。大きく見える杁差岳の勇姿に皆思わず溜息が出るほどであった。

しかし、これから目指す“一本松”、“黒手ノ峰”は谷を隔てて遥かかなた。気が遠くなると同時に気持ちが引き締まる。
一本松(815m)までは一旦大きく下ってからまた登り返す長い道のりである。
残雪を踏みしめてブナ林の中をただ黙々と歩き続けた。アップダウンの多い長い尾根歩きであった。
薮はそれ程気になるほどでもなかったし、風倉山の稜線と遠くに見える朝日連峰が目を和ませてくれたのには助かった。

一本松もまた展望の山であった。景色を眺め、間食を摂って一息ついた。
ここからは痩せ尾根が続き、大展望を楽しみながらのまさに空中散歩であった。

小川の頭(コガワノカッチ 820m)への尾根は雪が締まっていて、アイゼンが要るくらいであった。
その残雪から延びた?の木の周りは“根開き”となっており、1mくらいの深さの穴になっていたが土は見えなかった。少雪とは言え、場所によっては結構な雪の量である。
小川の頭では、青空の中、杁差岳が神々しいまでに堂々と聳えていた。
そして、右手には二王寺岳、左手には朝日連峰と全く遮るもののない大展望であった。
知らず知らずにみんなからは歓声が上がっていた。

黒手ノ峰への稜線は本当に痩せ尾根である。途中、急斜面でリーダーとサブリーダーの2人がステップを切ってくれた。雪壁につけたステップを崩さぬ様、全員後ろ向きで下りて行った。
黒手ノ峰も360度の大パノラマ、5時間半に及ぶ長歩きの疲れも全く忘れる程であった。
時間は少し遅くなったが、大展望を楽しみながら、そこでお昼とした。
いつもながら、いろいろな食材が回って来て、楽しいひと時であった。

帰路は、一本松までは往路を辿り、一本松からは牟礼山へは行かず、一つ手前の尾根に入った。
後ろの杁差岳を振り返りながら一本松へ、そして一本松からは、薮のうるさい尾根をひたすら歩いた。
こんなのは薮では無いと同行の諸兄(姉)は言っていたが、疲れた足に薮が突っかかり難渋した。

何回か休憩を取りながら、何とか第二発電所に降りることができた。これで一安心、安堵の色が皆の顔に現れていた。
青空の下の大パノラマと薮、春の締まった雪、10時間近くを歩き通した山歩きの醍醐味、大満足の一日であった。  (おわり)       

春の息吹、ブナの木の“根開き” 歩いて来た稜線とどっしりとした“一本松”
“黒手ノ峰”に向う途中、急斜面を後ろ向きに
降りる仲間達
“黒手ノ峰”に到着です。バックは朝日連峰
朝日連峰のアップ。手前は葡萄鼻山・立烏帽子。
名実共に杁差岳の展望の山、見てくださいこの
神々しい姿を。
名残惜しくも帰路に付きました。
後から“黒手ノ峰”が見送ってくれました。